Windows のセキュリティを強化する「メモリ整合性」。 いざ有効にしようとしても、「互換性のないドライバーがあります」というエラーでオンにできない、あるいは設定項目自体が表示されないとお困りではありませんか?
この問題のほとんどは、以下の 2つのどちらかが原因です。
- 「ハードウェア仮想化」が BIOS/UEFI で無効になっている
- 古い(互換性のない)ドライバーがシステムに残っている
この記事では、メモリ整合性を有効にするために不可欠な「ハードウェア仮想化」の正しい BIOS設定(Intel VT-x や AMD-SVM など)から、互換性のないドライバーを特定して削除する方法まで、具体的な解決手順を分かりやすく解説します。
メモリ整合性とは?なぜオンにすべきか
メモリ整合性とは、マルウェアやランサムウェアなどの悪意のあるソフトウェアから PC を保護するための、Windows セキュリティの機能の一部です。
近年企業を狙ったサイバー攻撃が増えています。企業だけでなく個人に対しての攻撃も増えてきていますので、できる限りオンにしておくことをおすすめします。
メモリ整合性に関しては次のページで詳しく説明していますので、ご覧になってみてください。
Windows 10/11 メモリ整合性とは?オフでも大丈夫?
メモリ整合性がオンにできない主な原因は 2つ
1.ハードウェア仮想化が有効になっていない
「メモリ整合性」機能は、Windows がハードウェアレベルの仮想化機能(ハイパーバイザー)を使って、OS の中核(カーネル)を分離・保護する技術です。
そのため、PC の CPU(Intel または AMD)が持つ「ハードウェア仮想化」機能が、PC の BIOS/UEFI 設定で有効になっていなければ、メモリ整合性は利用できません。(「オンにできない」だけでなく、設定項目自体が「表示されない」原因にもなります)
BIOS(UEFI)の操作方法はメーカーによって異なりますので、詳細は取扱説明書またはメーカーのホームページでご確認ください。
各メーカーの BIOS(UEFI)画面の表示方法を見る
一般的なメーカーのショートカットキーは次のいずれかのキーを使用します。
- Delete, ESC, F1, F2, F8, F9, F10, F12
パソコンの電源を ON にしたら、すぐにキーボードのショートカットキーを数回押してください。
一部のメーカーのショートカットキーを紹介しますので参考にしてみてください。
| ショートカットキー | メーカー |
|---|---|
| F2 | Sony(ソニー),Dell(デル),Acer(エイサー),FUJITSU(富士通),Samsung(サムスン),ASUS(エイスース) |
| F2 または F10 | HP |
| F1 | ThinkPad |
| ESC を押してから F1 を押す、または F2キー | TOSHIBA(東芝) |
| F2 または Fn + F2 | Lenovo(レノボ) |
1-1. BIOS/UEFIで「仮想化」を有効にする方法
この設定は、PCメーカー(マザーボードメーカー)によって、非常に多くの異なる呼び方があり、ユーザーを混乱させる最大の原因となっています。
PC を再起動し、BIOS/UEFI 設定画面を開き、以下のいずれかの項目を探して「Enabled(有効)」に設定してください。
Intel CPU の場合
Intel Virtualization Technology(最も一般的)Intel VT-xIntel VTT(一部メーカーでの略称)Intel VTXIntel (VMX) Virtualization TechnologyVirtualization Technology (VTx)
AMD CPU の場合
AMD-SVMSVM MODESecure Virtual Machine Mode
設定を変更したら、必ず「保存して終了(Save and Exit)」を選んで PC を再起動してください。
1-2. 【重要】「IOMMU」との違い (DMA保護)
BIOS 設定を調べていると、「Intel VT-d」や「AMD-IOMMU」といった、似たような仮想化の項目が見つかるかもしれません。
一部のメーカーの「仮想化有効」に関するページでは「Intel VT-d」や「AMD-IOMMU」、「IOMMU」、「Virtualization for Direct-IO」を有効化すると書かれている場合がありますが、これらは「メモリ整合性」には必要ありません。
これら「IOMMU (Input-Output Memory Management Unit) 」の設定は、「メモリ整合性(コア分離)」とは別のセキュリティ機能です。 これらは、外部デバイス(Thunderbolt や PCIe カードなど)がメモリに直接アクセスするのを防ぐ「メモリ アクセス保護(カーネル DMA 保護)」を有効化したい場合にのみ必要な項目です。
カーネル DMA 保護(Microsoft 公式ページ)
「メモリ整合性」をオンにするのが目的であれば、「IOMMU」や「VT-d」の設定は(無効のままでも)気にする必要はありません。「VT-x」や「SVM」が有効になっていれば OK です。
筆者の PC の BIOS(UEFI)画面(ASRock B550M-P4)
ここでは筆者の PC の BIOS(UEFI)画面(ASRock B550M-P4)を例に操作方法を紹介しますので、参考にしてみてください。
1.BIOS(UEFI)画面を開いたら、「アドバンスド」タブを開き、「CPU 設定」を選択します。
2.表示された画面の下の方にある「SVM MODE」を「Enabled」にすることでハードウェア仮想化を有効にすることができます。
Enabled/Disabled CPU Virtualizatiaon(CPU 仮想化の有効化/無効化)
変更後は必ず設定を保存してください。(一般的に F10 キーを押すと保存するかしないかを聞かれます)
2.互換性のないドライバーがインストールされている
既に互換性のないドライバーがインストールされている場合は、「互換性のないドライバーを確認する」と表示され、メモリ整合性を「オン」にすることができません。
「互換性のないドライバーを確認する」をクリックすると、互換性のないドライバーが 1つ、または複数表示されます。
メモリ整合性を「オン」にするためには、これらのドライバーがインストールされていない状態にする必要があります。
最新のドライバーに更新または互換性のないドライバーを削除する
「互換性のないドライバーがインストールされていない状態」というのは、削除または更新が必要だということです。
ドライバーを削除することでメモリ整合性を「オン」にすることができるようになるのですが、Microsoft は、まず最新のドライバーに更新することを推奨しています。
これは、Microsoft の互換性のないドライバーのリストに古いバージョンのドライバーが登録されているためです。
例えば同じ名前のドライバーであっても、バージョンが最新であれば、リストには登録されていない互換性のあるドライバーと判断される場合があります。
もしもドライバーを更新しても互換性のないドライバーが表示される場合は、それらを削除する必要があります。
ただし、ドライバーを削除してしまうと、そのドライバーを必要とするアプリやデバイスが動作しなくなる可能性があるので注意が必要です。
特に古いデバイスのドライバーは、メーカーもサポートを停止している場合があり、ドライバーの入手が困難なものもあります。
ドライバーを削除する手順
最新のドライバーが見つからず、どうしてもメモリ整合性を「オン」にしたいという場合は、以下の手順でドライバーを削除してみてください。
Windows セキュリティに表示されている「互換性のないドライバー」は閉じずに、表示したままにします。
1.スタートボタンを右クリックし、「ターミナル(管理者)」を開きます。
2.次のコマンドを入力して Enter を押します。
pnputil /enum-drivers
※このコマンドは、ドライバーストア内のすべてのサードパーティ製ドライバーパッケージ(OEM ドライバーパッケージ)を列挙します。
3.Windows セキュリティの「互換性のないドライバー」に公開名「oem〇.inf」表示されている場合がありますので、同じものを探してください。
4.見つかったら、次のコードを入力して Enter を押してドライバーを削除します。
例:「oem0.inf」の場合
pnputil /delete-driver oem0.inf
※ドライバーの削除が心配な方はシステムの復元などでバックアップを取ってから行ってください。
5.コマンドを実行するとドライバーが削除されますので、複数ある場合は繰り返し行い、すべて削除したらメモリ整合性を「オン」にしてみましょう。
「互換性のないドライバー」に「sys」ファイルしか表示されていない場合
「互換性のないドライバー」に「sys」ファイルのみ表示されていて「inf」ファイルが表示されていない場合、直接ドライバーの保存場所から「sys」ファイルのプロパティを確認するか、レジストリエディターで検索してみましょう。
「sys」ファイルのプロパティ(詳細)を確認する
1.Windowsキー + R を押して「ファイル名を指定して実行」を開き、次のコマンドを入力して Enter を押します。
%SystemRoot%\System32\drivers
2.「drivers」フォルダーが開きますので、該当の「sys」ファイルを見つけ、ファイルの上で右クリック>「プロパティ」をクリックします。
3.次の画像は 1つの例ですが、詳細タブを開き、「説明」の部分をすべて確認します。
例えば、上の画像の著作権の部分には「AMD」と表示されているので、AMD 関連のドライバーだということがわかります。
※「デジタル署名」のタブなどでも確認できる場合があります。
アプリをアンインストールする
「sys」ファイルの詳細が確認出来た場合、その「sys」ファイルを使用しているアプリ(ソフトウェア)をアンインストールすることでメモリ整合性を「オン」にすることができるようになります。
ただし、お使いの PC に必須のソフトウェアである場合は、削除しないことをおすすめします。
1.Windowsキー + R を押して、「ファイル名を指定して実行」を開き、次のコードを入力して Enter を押します。
ms-settings:appsfeatures
2.インストールされているすべてのアプリが表示されますので、上記の例であれば、AMD に関連するアプリを探してアンインストールします。
AMD といえば、チップセットドライバーやグラフィックドライバーなどがありますね。
チップセットドライバーとは?PCの性能を引き出す役割とWindows 11での更新・確認方法
3.アンインストールが完了したら、PC を再起動してメモリ整合性を「オン」にしてみましょう。
「sys」ファイルが見つからない場合
もしも「drivers」フォルダーで「sys」ファイルが見つからない場合は、サービスとして登録されている可能性がありますので、レジストリエディターで確認してみましょう。
「sys」ファイルに関するサービスが見つかれば、そのサービスを無効化することで PC の起動時に「sys」ファイルが読み込まれなくなり、メモリ整合性を「オン」にすることができるようになります。
※一部のサービスは「サービス」に表示されませんので、手動でレジストリ値を編集する必要があります。
※「sys」ファイルを検索する補助ツールとして、「sys」ファイルを検索するツールを作成しましたので、必要な方はお試しください。
レジストリの操作を間違えると、システムが起動できなくなるなどの不具合が起きる可能性があります。事前にシステムの復元などでバックアップを取り、自己責任で行うようお願いします。
- システムの復元ポイント作成方法及び復元方法
- レジストリエディターの開き方及びバックアップ方法
- Windows 11/10 レジストリの予備知識|概念・開き方・内部構成
- Windows 11レジストリの所有権を取得し、アクセス許可を変更する方法
1.Windowsキー + R を押して「ファイル名を指定して実行」を開き、「regedit」と入力して Enter を押します。
2.レジストリエディターが開きますので、次のキーを開きます。
HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Services
3.「Services」キーの上で右クリック>「検索」をクリックします。
4.検索の画面が開きますので、「データ」のみにチェックを入れ、「検索する値」に「sys」ファイルの名前を入力し、「次を検索」をクリックします。
例:「nvlddmkm.sys」
5.「sys」ファイルが見つかると、キーが選択されますので、右側の欄の値「ImagePath」をダブルクリックして値のデータを確認してください。
6.「sys」ファイルが確認出来たら「キャンセル」ボタンをクリックして「文字列の編集」を閉じ、「ImagePath」の下にある値「Start」をダブルクリックして開きます。
7.値のデータを「4」(無効)に変更し、OK をクリックします。
※何のサービスかわからない場合、コメントまたはお問い合わせフォームから「sys」ファイルの名前をお伝え頂ければ、わかる範囲でお答えします。
8.これでレジストリエディターでの編集は完了しました。
PC を再起動してメモリ整合性を「オン」にしてみましょう。
「sys」ファイルを検索する補助ツール
このツールは、レジストリから「sys」ファイルに関するレジストリ値(サービス)を検索したり、「drivers」フォルダーから「sys」ファイルを検索してファイルの場所を開くことができます。
対象ファイル:「RegSysOpen.exe」(Ver 1.0.0.1)
ハッシュ値(SHA256):a5b59c3f827d67a2a9041713044e685aafca7566380f32cc725c9d4563a2e697
RegSysOpen.zip(Ver 1.0.0.1)
ダウンロードした「RegSysOpen.zip」を解凍し、中にある「RegSysOpen.exe」を実行します。
1.ツールが開いたら、「sys」ファイルの名前を入力して「検索」ボタンをクリックします。
2.すると、見つかったキーの場所と値のデータが入力されます。
※見つからない場合は、キーの場所と値のデータを空にして「見つかりませんでした。」と表示します。
3.「レジストリエディターで開く」ボタンをクリックすると、レジストリエディターで見つかったキーの場所を開き、右側の欄の値「ImagePath」を選択します。
2024/02/25 Ver 1.0.0.1 の更新内容
「C:\Windows\System32\drivers」フォルダーから「sys」ファイルを検索できるように変更しました。
※「C:\Windows\System32\drivers」フォルダーから「sys」ファイルを検索した場合、ファイルが見つからない場合は何も表示されません。
下記のどちらかを選択し、「sys」ファイル名を入力して検索してください。
- 「C:\Windows\System32\drivers」フォルダーから「sys」ファイルを検索
ファイルの説明および製品名の表示をし、ファイルの場所を開くことができます。 - レジストリから「sys」ファイルを検索
メモリ整合性をオンにする手順
1.タスクトレイにある Windows セキュリティのアイコンをクリックします。
2.Windows セキュリティが開いたら「デバイス セキュリティ」をクリックします。
3.「コア分離」の下にある「コア分離の詳細」をクリックします。
4.「メモリ整合性」の下にあるトグルをクリックして「オフ」から「オン」変更します。
5.「ユーザーアカウント制御」が表示されたら「はい」をクリックします。
6.設定を反映させるために、PC を再起動してください。
メモリ整合性を「オン」にせずに警告のマーク⚠️を消す方法
おすすめはしませんが、メモリ整合性を「オン」にせずに警告のマーク⚠️を消したい場合は、「デバイスセキュリティ」で「無視」をクリックすると消すことができます。
例えば、互換性のないドライバーを削除すると不具合が発生してしまう場合などに設定してみてください。
1.タスクトレイ(通知領域)に表示されている Windows セキュリティのアイコンをクリックします。
2.「デバイスセキュリティ」の下の「無視」をクリックします。
3.すると、警告マークが消えます。
「Windows セキュリティ – 処置をお勧めします。」「無視」したらどうなる?元に戻す方法



























コメント