今回、Windows 10 と Windows 11 の回復パーティションを削除した場合に初期化(PC のリセット)はできるのか?を検証してみました。
回復パーティションとは何なのか?
回復パーティションには、以下のものが保存されています。
- Windows回復環境(WinRE)
- システムイメージ(Windows RE イメージ)
- 回復をするために必要なツール
詳しく説明すると、回復パーティションには「Recovery」、「System Volume Information」の 2つのフォルダーがあり、その中に「WindowsRE」、「Logs(ない場合もある)」の 2つのフォルダーがあります。
「WindowsRE」フォルダーの中には、「Windows RE イメージ(Winre.wim)」、「ReAgent.xml」、「boot.sdi」の 3つの重要なファイルがあります。
「ReAgent.xml」は WinRE の構成ファイルであり、「boot.sdi」はメモリー内に RAM ディスク(仮想ストレージ)を作成するためのファイルです。
「Winre.wim」の中には「Program Files」、「Program Files (x86)」、「ProgramData」、「sources」、「Users」、「Windows」の 6つのフォルダーが入っています。
回復パーティションには、Windows の起動に失敗した場合や、システムに深刻な問題が発生した場合にシステムを復元するためのイメージやファイルが保存されています。
回復パーティションを削除したら初期化(PC のリセット)はできるのか?
では、この回復パーティションを削除したら初期化(PC のリセット)はできるのか?
WinRE が無効になっている場合
1.コマンドプロンプトから「reagentc /disable」を実行し、WinRE を無効にした場合
WinRE が無効になっている場合、設定から初期化(PC のリセット)はできなくなります。
Windows 10:「設定」>「更新とセキュリティ」>「回復」>「このPCを初期状態に戻す」
Windows 11:「設定」>「システム」>「回復」>「このPCをリセット」
通常は、「設定」から初期化(PC のリセット)を実行すると次のように「個人用ファイルを保持する」と「すべて削除する」というオプションの選択画面が表示されます。
![](https://windows-waza.com/wp-content/uploads/2024/01/2024-01-15_12h11_50.png)
しかし、WinRE が無効になっている場合、「回復環境が見つかりません」と表示されます。
![](https://windows-waza.com/wp-content/uploads/2024/01/2024-01-15_08h35_10.png)
そして、「高度なスタートアップオプション」では、通常は「トラブルシューティング」を選択すると「この PC を初期状態に戻す」と「詳細オプション」が表示されます。
![](https://windows-waza.com/wp-content/uploads/2024/01/2024-01-15_11h19_50.png)
しかし、WinRE が無効になっている場合、「詳細オプション」が直接表示され、「スタートアップ設定」と「UEFI ファームウェアの設定」しか表示されなくなります。
![](https://windows-waza.com/wp-content/uploads/2024/01/2024-01-15_10h58_44.png)
「詳細オプション」に 2項目しか表示されないので、「高度なスタートアップオプション」からは更新プログラムのアンインストールやシステムの復元は実行できなくなります。
2.WinRE が有効のまま回復パーティションを削除した場合
WinRE が有効のまま回復パーティションを削除した場合、自動的に WinRE が無効になり、上記と同じように初期化ができなくなります。
そして、WinRE が有効のまま回復パーティションを削除してしまうと、「Windows RE イメージ(Winre.wim)」はパーティションごと削除されてしまい、再度 WinRE を有効にする際に「REAGENTC.EXE: Windows RE イメージは見つかりませんでした。」というエラーが表示され、WinRE を有効にすることができなくなってしまいます。
もしもそのような状態になってしまった場合は、次のページの方法で解決することができます。
Win10 解決!「REAGENTC.EXE: Windows RE イメージは見つかりませんでした。」
※仮に WinRE を有効にできたとしても、回復パーティション作成の手順を間違えると初期化の際に「お使いの PC またはデバイスは修復する必要があります」と表示される場合があります。
ファイル: \Windows\system32\winload.efi
エラーコード:「0xc0000225」
![](https://windows-waza.com/wp-content/uploads/2024/01/2024-01-15_11h01_53.png)
回復パーティションがなく、WinRE が無効の状態で初期化する方法
回復パーティションがなく、WinRE が無効の場合、Windows のインストールメディア DVD または USB を使用して初期化することができます。
次のページから各 OS 用のメディア作成ツール「MediaCreationTool」をダウンロードしてメディアを作成してください。
メディア作成ツール「MediaCreationTool」の使用方法は、次のページを参考にしてみてください。(Windows 10 も同じ操作です)
Win11 メディア作成ツール「MediaCreationTool_Win11_23H2」
回復パーティションがない状態で Windows回復環境(WinRE)を有効にしたらどうなる?
例えば、次のように回復パーティションがない状態、または回復パーティションのサイズが「Windows RE イメージ(Winre.wim)」よりも小さい状態で Windows回復環境(WinRE)を有効にしたらどうなるのかを検証してみました。
![](https://windows-waza.com/wp-content/uploads/2024/01/2024-01-15_13h23_19.png)
この状態で WinRE を有効にすると、「C:\Recovery」フォルダー(隠しファイルを表示しないと見えない)の中に「WindowsRE」フォルダーが作成され、その中に Windows回復環境(WinRE)が保存されるようになっています。
この状態は、回復パーティションがある場合と変わりはなく、初期化(PC のリセット)ができる状態です。
これを見ると、回復パーティションは要らないのではないか?と疑問に思うかもしれません。
では、両者のメリット、デメリットを見てみましょう。
「C:\Recovery」フォルダーの中に Windows回復環境(WinRE)が保存されている場合
メリット:
- 「C:\Recovery」フォルダーの中に Windows回復環境(WinRE)が保存されている場合、通常通り初期化(PC のリセット)ができる。
- システムドライブ(Windows のインストールされているパーティション)の容量が、回復パーティションがない分多くなる。
デメリット:
- Windows がインストールされているパーティションに保存されているため、システムに問題がある場合に正常に初期化ができなくなる場合がある。
- システムに問題がある場合に初期化自体実行できなくなる場合がある。
回復パーティションがあり、その中に Windows回復環境(WinRE)が保存されている場合(デフォルト)
メリット:
- 回復パーティションがあり、その中に Windows回復環境(WinRE)が保存されている場合、通常通り初期化(PC のリセット)ができる。
- システムに問題があっても「高度なスタートアップオプション」から初期化(PC のリセット)を実行できる。
デメリット:
- 回復パーティションの分、システムドライブ(Windows のインストールされているパーティション)の容量が少なくなる。
このように、メリット、デメリットがあり、システムの異常時に備え、Microsoft はデフォルトで自動的に回復パーティションを作成するようにしているのだと思います。
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