Windows 11 で Hyper-V の仮想マシンを使っていると、「動作が遅い」「重い」「カクカクする」といったパフォーマンスの問題に悩まされることはありませんか?
実は、いくつかの設定を見直すだけで、Hyper-V の快適さを大幅に改善できる可能性があります。
この記事では、Hyper-V が本来の性能を発揮できるよう、確認すべき重要な項目と具体的な解決策を解説します。
Hyper-V が遅い場合に確認しておきたい項目
仮想マシンの新規作成ウィザードの画面を見ながら確認してみてください。
この記事で使う、少し分かりにくい言葉について、先に説明しておきます。
- ホスト = 現在使用している、仮想マシンを動かすための物理的な PC のことです。
- ゲスト = ホストPCの中に作られた、もう一つの独立した PC(仮想マシン)のことです。
1.名前と場所の指定
ここで仮想マシンの場所を指定しない場合、デフォルトで「C:\ProgramData\Microsoft\Windows\Hyper-V\」に作成されます。
この場所は OS のインストールされているドライブと同じドライブですので、ドライブが SSD であれば問題ありません。
ただ、ドライブが SSD でも例外があります。
例えば、仮想マシンの場所を外付けの SSD に指定した場合、内臓ドライブ の SSD よりもパフォーマンスが落ちる場合があります。
一般的に内臓ドライブ の SSD と外付けの SSD を比べると、内臓ドライブ の SSD の方が数倍、数十倍読み取り速度が速く、その差は明らかです。
そのため、仮想マシンの作成時にはなるべく速いドライブを選択するようにしましょう。
2.世代の指定
世代の指定では、デフォルトで「第 1 世代」が選択されていますが、ゲスト OS に Windows 10 や Windows 11 をインストールする際は「第 2 世代」を選択しましょう。
3.メモリの割り当て
メモリの割り当てでは、「起動メモリ」を指定します。
デフォルトでは「4096MB」の「起動メモリ」が入力されていますが、Windows 10 や Windows 11 の場合、起動直後に約 3GB のメモリーを使用しますので、おすすめは 6GB(6144MB)です。
6GB(6144MB) の起動メモリを割り当てておけば快適に使用できると思います。(物理メモリーに余裕があれば)
そして重要なのは、デフォルトで「この仮想マシンに動的メモリを使用します。」にチェックが入っていますので、チェックを外すことです。
詳しくは、「作成した仮想マシンの設定」の「メモリ」をご覧ください。
作成した仮想マシンの設定
作成した仮想マシンの上で右クリック>「設定」をクリックします。
メモリ
仮想マシンを作成すると、デフォルトで「動的メモリ」にチェックが入っています。
「動的メモリ」は便利な機能で、仮想マシンが必要に応じてメモリーの量を自動的に増減させることができる設定です。
つまり、Hyper-V が、設定した「最小 RAM」と「最大 RAM」の範囲内で仮想マシンのメモリー使用量を監視し、必要に応じて自動で調整してくれる、ということです。
しかし、「動的メモリ」にはメリットとデメリットがあります。
複数の仮想マシンを動かす際に、ホスト PC の物理メモリーを効率的に利用できます。例えば、起動時やアイドル状態の仮想マシンには少ないメモリーを割り当て、負荷が高い仮想マシンには多くのメモリーを割り当てるといったことが自動で行われるため、物理メモリーを節約し、より多くの仮想マシンを起動できるようになります。
メモリーの増減にはわずかなオーバーヘッド(処理の負荷)が発生するため、厳密なパフォーマンスを追求するサーバーなどでは、使用するメモリー量を固定した方が安定する場合もあります。
実際に「動的メモリ」を使用して仮想マシンを起動してみるとわかりますが、動作が非常に遅くなります。
「この仮想マシンが使用できるメモリの量を指定します。」で仮想マシンに使用できるメモリー量を指定し、「動的メモリを有効にする」のチェックを外して(固定メモリを使用する)仮想マシンを起動すると、明らかに動作が速くなります。
「動的メモリ」を使用した場合、仮想マシンが使用するメモリー量が「最小 RAM」で指定したメモリー量よりも多くなった場合、追加でメモリー量を割り当てます。
そして、仮想マシンが使用するメモリー量が少なくなれば、それだけ割り当てるメモリー量を減らします。
この増減が起こることにより負荷が発生し、仮想マシンの起動や全体の動作が遅くなる場合があります。
そのため、初めから割り当てるメモリー量を固定サイズにしておくことで、増減による負荷が発生しなくなり、仮想マシンの動作が安定します。
プロセッサ
プロセッサの設定では、「仮想プロセッサの数(ゲスト OS で使用する CPU の数)」を指定できます。
デフォルトでは、お使いの CPU のコア数が入力されており、多くの方はそのまま使用しているのではないでしょうか?
この「仮想プロセッサの数」には、コア数ではなく「論理プロセッサ数」を入力しましょう。
論理プロセッサ数とは、例えば筆者の CPU は「AMD Ryzen 7 5700X 8-Core Processor」で CPUコア数が「8」、スレッド数が「16」です。
ホスト OS のタスクマネージャーを開き、パフォーマンスタブの「CPU」を選択すると、「コア:」および「論理プロセッサ数:」が確認できます。
「仮想プロセッサの数」に「論理プロセッサ数」を入力してゲスト OS を起動した場合、「コア数」を入力した時と比べると明らかに速くなっています。
スマート ページング ファイルの場所
スマート ページング ファイルの場所も、HDD よりも速い SSD を指定するとパフォーマンスが上がります。
スマートページングは、「動的メモリ」を使用時に、物理メモリー不足で仮想マシンを起動できない状況を回避する機能です。
「動的メモリ」を使用中に、仮想マシンが一時的に割り当てられたメモリー量を超えるメモリーを必要とした場合、その差分をスマート ページング ファイルで補います。
- 仮想マシンの再起動
- 使用できる物理メモリーが不足
- ホスト上で実行されている他の仮想マシンにも、再利用できるメモリーがない









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