2025年12月1日にリリースされた Windows 11 (24H2/25H2) 向けのプレビュー更新プログラム KB5070311 をインストールした後、一部のソフトウェアで「文字の表示がおかしくなる」「文字が縦書き(または横倒し)になってしまう」という深刻な表示不具合が発生しています。
※追記:2025年12月9日 にリリースされた KB5072033 でも発生。
当サイトで検証を行った結果、この問題の原因と解決法が判明しましたので共有します。
発生している症状
- 対象OS: Windows 11 バージョン 24H2 / 25H2
- トリガー: 更新プログラム KB5070311 (ビルド 26100.7309 / 26200.7309) 、KB5072033 (OS ビルド 26200.7462 および 26100.7462) の適用後
- 症状: ARES Commander などの CADソフトや、特定のアプリケーションにおいて、メニューやダイアログの文字が意図せず縦書きになったり、文字の向きが 90度回転(横倒し)したりして表示される。
原因:更新された「游ゴシック」フォント
調査の結果、この不具合の根本原因は、KB5070311、KB5072033 で更新されたシステムフォント「游ゴシック (YuGothM.ttc)」の新しいバージョンにあることが分かりました。
今回のアップデートでフォントファイル内部に変更が加えられた影響で、一部のソフトがフォントの縦書き/横書き属性を正しく読み取れなくなり、表示崩れを引き起こしていると考えられます。
解決法
現時点で有効な解決策は以下の 2つです。
方法A:KB5070311 をアンインストールする(推奨)
最も簡単で確実な方法は、原因となっている更新プログラムを削除することです。 KB5070311 は「プレビュー(必須ではない)」更新ですので、削除してもセキュリティ上の問題はありません。
- 「設定」>「Windows Update」>「更新の履歴」 を開きます。
- 下の方にある 「更新プログラムをアンインストールする」 をクリックします。
- リストから 「KB5070311」 を探し、「アンインストール」 をクリックします。
- PC を再起動します。
方法B:旧バージョンのフォントに差し替える(上級者向け)
「セキュリティ更新等の関係で KB を削除したくない」という場合は、問題のある新しいフォントを使わず、旧バージョンのフォントを強制的に読み込ませることで解決できます。
【手順】
1.旧ファイルの入手: 不具合が起きる前(KB 適用前)の Windows 11 の ISO ファイルや、別の PC から「YuGothM.ttc」を取り出します。
- 別の PC から 取り出す場合:
- 「C:\Windows\Fonts」フォルダーを開き、「Yu Gothic UI」をダブルクリックして開いてください。
- 「Yu Gothic UI 標準」の上で右クリック>「コピー」をクリックします。
- 別フォルダーに貼り付けます。
- Windows 11 の ISO ファイルから取り出す場合:
- Windows 11 ディスク イメージ (ISO) をダウンロードする方法を参考に、ISO ファイルをダウンロードしてください。
- 7-zip をダウンロードしてインストールしておきます。https://7-zip.opensource.jp/download.html
- ダウンロードした Windows 11 の ISO ファイルの上で右クリック>その他のオプションを確認>7-Zip>「開く」をクリックします。
- 「sources」フォルダーを開きます。
- サイズの一番大きいファイル「install.wim」をダブルクリックで開きます。
- 「1」フォルダーを開きます。
- フォルダーが開いたら、「Windows」>「Fonts」と開いていきます。
- 「YuGothM.ttc」を左クリックして離さず、別のフォルダーにもって行き、クリックを離します。(ドラッグ&ドロップ)
2.配置: 取り出したファイルを C:\Fonts などの別フォルダーに保存します。(C:\Windows\Fonts に上書きはできません)
3.レジストリ変更: レジストリエディターで以下のキーを開き、システムが参照するフォントのパスを書き換えます。
レジストリの操作を間違えると、システムが起動できなくなるなどの不具合が起きる可能性があります。事前にシステムの復元などでバックアップを取り、自己責任で行うようお願いします。
- システムの復元ポイント作成方法及び復元方法
- レジストリエディターの開き方及びバックアップ方法
- Windows 11/10 レジストリの予備知識|概念・開き方・内部構成
- Windows 11レジストリの所有権を取得し、アクセス許可を変更する方法
キー: HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows NT\CurrentVersion\Fonts
値: Yu Gothic Medium & Yu Gothic UI Regular (TrueType)
データ: C:\Fonts\YuGothM.ttc (配置したフォルダーのパスに変更)
4.再起動: PC を再起動すると、旧バージョンのフォントが読み込まれ、表示が正常に戻ります。
上記の設定を元に戻す方法:
- 値のデータを「YuGothM.ttc」に戻します。
- PC を再起動します。
まとめ
CAD やデザイン業務で PC を使用されている方にとって、フォントの表示崩れは致命的です。 同様の症状が出ている方は、まずは KB5070311 のアンインストール を試してみてください。
Microsoft 側で修正された新しい更新プログラムが配信されるまでは、このプレビュー更新の適用は避けることをおすすめします。
【2025/12/11 追記:メーカーより修正版がリリースされました】
本記事で紹介している不具合について、メーカー(Graebert Japan)より、対策済みの修正版インストーラーがリリースされました。 以下の製品をお使いの方は、最新版をインストールすることで、Windows Update (KB5070311, KB5072033) を適用したままでも正常に動作するようになります。
- 対象製品: ARES Commander 2025/2026、ARES Standard 2025/2026
- 詳細・ダウンロード: 【KB5070311、KB5072033 適用時の重大な問題】画面の文字が横向きで表示されてしまう – Graebert Japan ヘルプセンター
基本的には、上記の修正版をインストールすることを推奨します。 何らかの事情でアップデートできない場合、上記ページにお使いの製品の更新がない場合のみ、本記事で紹介している回避策(フォント差し替え)をお試しください。




