手軽で便利な USBメモリ。仕事のデータや大切な思い出の写真を保存している方も多いでしょう。
しかし、ある日突然、PC に挿しても認識されず、大切なデータが永遠に失われてしまう…。そんな悲劇は、決して他人事ではありません。
実はその原因、普段の何気ない「使い方」や「抜き方」に潜んでいるかもしれません。
この記事では、USBメモリの寿命を縮めてしまう意外な原因と、あなたの貴重なデータを守るための重要な注意事項を、私の実体験も交えながら詳しく解説します。
USBメモリが壊れる主な原因
1.USBメモリ自体の寿命
USBメモリの物理的な寿命は、一般的に 3年~10年ほどと言われています。しかし、これはあくまで目安です。
USBメモリの寿命を本当に決めるのは「総書き込みデータ量」であり、使用頻度が低ければ 10年以上使えることもありますし、毎日大量のデータを書き換えれば 1年で寿命を迎えることもあります。
USBメモリの内部にあるメモリチップ(NANDフラッシュ)には、データを記録できる回数に上限があります。この回数はメモリの種類によって異なり、一般的な指標は以下の通りです。
- SLC (Single-Level Cell): 約10万回(高耐久・高価・主に産業用)
- MLC (Multi-Level Cell): 約1万回(比較的高耐久・一般向け高品質品)
- TLC (Triple-Level Cell): 約3,000回(標準的・現在主流の安価な製品)
- QLC (Quad-Level Cell): 約1,000回(低耐久・大容量・安価)
安価な USBメモリの多くは TLC や QLC を採用しているため、「10万回」という数字は最高品質のメモリの場合であり、一般的な製品では 1,000回~1万回程度が一つの目安となります。
これらの回数はあくまで参考値であり、使用環境により変化します。参考程度に覚えておきましょう。
2.【要注意】USBメモリの寿命を縮める不適切な使い方
USBメモリは手軽で便利ですが、その扱い方を間違えると、大切なデータを失うだけでなく、メモリ本体や PC を壊してしまう危険性もはらんでいます。ここでは、特に注意すべき 3つのポイントを解説します。
1.読み書き中の抜き差しは絶対に NG
これは基本中の基本ですが、最も危険な行為です。
データの読み書き中に USBメモリを抜いてしまうと、ファイルが破損するだけでなく、USBメモリ自体が論理的に壊れてしまい、二度と使えなくなる可能性があります。
【ポイント】 アクセスランプが点滅している時は、絶対に抜かないでください。また、PC に挿した直後も、Windows がバックグラウンドでデバイスを認識しようとアクセスしています。少なくとも数秒は待ってから操作しましょう。
2. 「ハードウェアの安全な取り外し」は本当に不要? → いいえ、やるべきです
Windows 10 バージョン 1809 から、標準の取り外しポリシーが「クイック取り外し」になり、「『安全な取り外し』をしなくても直接抜いて良い」と Microsoft は公式に認めています。
しかし、筆者はそれでも『ハードウェアの安全な取り外し』を行ってから抜くことを、強く、強くおすすめします。
「ハードウェアの安全な取り外し」は、タスクトレイ(通知領域)にある USBのアイコンをクリックすると表示されます。
なぜなら、システムには不具合が付き物だからです。
実は私自身、この「安全な取り外し」を怠ったことが原因と思われる、痛い経験をしています。
ある日、USBメモリへのデータの書き込みが終わり、アクセスランプも消えていることを確認して、直接メモリを抜きました。しかし後日、その USBメモリを PC に挿すと「このドライブで問題が見つかりました。今すぐドライブをスキャンして修復してください」というエラーが表示されたのです。
チェックディスクを試みましたが修復は途中で失敗。最終的に、そのUSBメモリはフォーマットすらできない、完全な文鎮と化してしまいました。
幸い、データは別の HDD にもバックアップしていたため事なきを得ましたが、もしバックアップがなければと思うと、今でも冷や汗が出ます。
この故障の原因が 100% 抜き方にあったとは断定できません。しかし、たった一手間を惜しんだことで、大切なデータやデバイスを失うリスクがあるのは事実です。
3. 物理的なダメージにも注意(ホコリと汚れ)
意外と見落としがちなのが、接続端子の汚れです。
USBメモリの差込口にホコリが付いたまま PC に挿すと、接触不良を起こすだけでなく、ショートして USBメモリ本体と、PC の USBポートの両方を物理的に破壊してしまう可能性があります。
挿す前に、端子にホコリがないかを目視で確認する。たったこれだけの習慣が、高価な PC を守ることに繋がります。
USBメモリの保管方法
- USBメモリは、湿度の高い場所(お風呂場や加湿器の近くなど)や、水に濡れる可能性のある場所を避けて保管してください。USBメモリの接続端子は金属でできているため、水分に触れると錆びや腐食が発生し、PC が認識しなくなったり、データが破損したりする原因になります。
- ポケットやカバンの中で、鍵やコインのような硬いものと一緒に入れて持ち運ぶのは避けましょう。外部ケースが傷つくだけでなく、接続端子が変形したり、内部の基盤が損傷したりして、使用できなくなる可能性があります。専用の小さなケースに入れるのが理想です。
- USBメモリの接続端子は、データの通り道です。この部分にホコリやゴミが付着すると、接触不良を起こし、データの読み書きが不安定になる原因となります。
- キャップ付きのタイプ: 使用しない時は、必ずキャップをしっかり閉めて保管しましょう。
- キャップのないタイプ: 小さなポーチや密閉できる袋、あるいは綺麗な布で包むなどして、ホコリから守ってあげましょう。
USBメモリの書き込みの回数はどうやってカウントするのか?
USBメモリの書き込み回数は、単純に「ファイルを1つ保存したら1回」とはカウントされません。実際には「どれだけのデータ量を書き込んだか」で決まり、ファイルサイズが非常に重要になります。
この仕組みを理解するには、USBメモリを「特殊なノート」に例えると分かりやすいです。
- ノート(USBメモリ)には、文字を書くための「ページ」と、そのページを数十〜数百枚束ねた「ブロック」という単位があります。
- データを書き込むのは、この「ページ」単位です。
- そして、USBメモリの寿命を決定づける最も重要なルールは、データを消すときは「ブロック」単位でしか消せない、という点です。
USBメモリの書き込み回数とは、この「ブロックを一度消去して、再び書き込める状態にする」というサイクルの回数を指します。
当然、1KB の小さなテキストファイルを保存するのに使うページ数と、1GB の大きな動画ファイルを保存するのに使うページ数(とブロック数)は全く異なります。
そのため、ファイルサイズが大きければ大きいほど、より多くのブロックに書き込みが行われ、USBメモリの寿命への影響も大きくなる、とカウントするのが正解です。
寿命を延ばすためのアイデア
- USB延長コードを使用して USBメモリ自体の破損を防ぐ
- USBメモリを PC に直接抜き挿しすると、接続端子が摩耗し破損の原因になります。USB延長コードを介して接続すれば、メモリ本体の抜き挿しは最初の 1回で済みます。日常的な抜き挿しは延長コード側で行うため、USBメモリ本体の物理的な消耗を効果的に防ぐことができます。
- 使用しない時は PC から外しておく
- PC に接続したままだと、意図しないバックグラウンドプロセスなどが USBメモリにアクセスし、わずかながら読み書きが発生する可能性があります。完全に不要な消耗を避けるため、使わない時は外して保管するのが最も安全です。
- 小さなファイルを多数書き込む際は、一度zipファイルにまとめる
- 非常に小さなファイル(数KB程度)を何千も書き込む場合、メモリの管理が非効率になり、「書き込み増幅」という現象で寿命に悪影響を与えることがあります。そのような多数のファイルを一度zipファイルにまとめることで、より効率的な書き込みが行われ、メモリへの負担を軽減できる場合があります。
- 容量に常に余裕を持たせる
- HDD や SSD と同様に、USBメモリも容量いっぱいまで使い切ると、新しいデータを書き込むための空き領域を探す処理が複雑になり、内部的な書き換え(書き込み増幅)が増加します。これにより、メモリへの負担が大きくなり、寿命を縮める原因になります。常に 10%~20% 程度の空き容量を保つのが理想です。




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